授業記録:文学入門 シェイクスピア四大悲劇

死ぬまでに楽しんでおきたい四大作品

本日は「文学入門 シェイクスピア四大悲劇」を開催しました。

シェイクスピアの四大悲劇とは、
「ハムレット」「オセロー」「マクベス」「リア王」を指します。

四大悲劇の特徴は、
物語の最後に主人公を含めて、多くの登場人物が死を迎えることです。

主人公にとって良かれと思ってとった行動が、
悪い方向へと転がっていき、次々と血が流れていく過程に
観客は一種の無常観を感じるのです。

この物悲しい感覚は生きている間に是非皆さんに楽しんでいただきたいです。

「ロミオとジュリエット」はどこへいった?

ところで、シェイクスピアに詳しくない人でも
作品名を挙げてもらえば、おそらく「ロミオとジュリエット」は必ず出てくるのではないでしょうか。

すれ違いから死を選ぶ若い男女の悲恋の物語です。
間違いなく悲劇と呼べるでしょう。

しかし、なぜか四大悲劇には含まれないのです。

四大悲劇は性格悲劇である

それでは、四大悲劇は「ロミオとジュリエット」よりも
悲しい物語なのでしょうか。

そこで、マクベスの物語を簡単に説明しましょう。
マクベスは王様に忠誠を誓う優秀な武将でした。
しかし、魔女に「お前は王になれる」と唆されたことから
マクベスは王を殺し、自分が王になってしまうのでした。
暴虐な王になったマクベスは結果的に反乱軍に滅ぼされてしまいます。

授業中に学生さんからこんな意見が出ました。
「『ロミオとジュリエット』はまさに悲劇という感じがするけれど、
『マクベス』は悲劇というより自業自得では?」

とても良い指摘です。
そして、まさにその点に四大悲劇の核心があるのです。

四大悲劇とは、性格によって起きる悲劇なのです。
性格が原因であれば、そりゃ自業自得ですよね。

そもそも悲劇とは、自分ではどうにもならない要素で悲しい目に会うことです。
たとえば、婚約者が地震で亡くなったならば、それは悲劇です。
地震は人間にはどうにもならない要素だから、悲劇なのです。

もっともどうにもならないもの、それが性格である

どうにもならない要素によって悲しい目に会うのが悲劇であれば、
一番どうにもならないものは何でしょうか?
そう、それこそは性格なのです。

あなたの友人でいらっしゃいませんか。
一言多い人。
やめておけばいいのに言ってしまう。
相手の怒りを煽って、問題が起きる。
その人の人生はまさに性格によって振り回されています。

マクベスも魔女に唆されたのが原因のように思えますが、
実はそうではありません。
「王になれる」と耳にして、
元から存在した野心が顕在化したにすぎません。
すべてのはじまりはマクベスの野心的な性格だったのです。

自業自得といえばそれまでですが、
私たちの人生も実は外的要因よりも内的要因に大きく左右されているのです。
あなたの人生は性格悲劇ですか?それとも性格喜劇ですか?

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