授業記録:文学入門 リア王

一流の悲劇と名高い傑作

先日は「文学入門 リア王」を開催しました。

「リア王」は17世紀初頭にシェイクスピアが執筆した傑作悲劇です。
ブリテンの王であるリアが三人の娘に領土を分割する場面から始まります。

リアは娘たちに自分への愛情を述べさせ、
その思いによって、与えるものを決めようと提案します。

父親に愛情のかけらもない長女と次女は美辞麗句で言葉を飾り、
反対に父親を思う三女コーディリアは自分の愛情を巧く表せません。

コーディリアを薄情だと受け取ったリア王は彼女を勘当してしまうのでした。

時代を超えて語られる「老害」

この作品が時代を超えて愛されるのは、
老人の害、いわゆる老害が巧く表現されているからです。

その後、長女と次女がブリテンを治めることになりました。
一度権力を手にした二人は、父親への扱いがぞんざいになります。

以下の台詞は、現代でも聞こえてきそうです。

(古典新訳文庫より)

「老人はただ若者の言うことに従ってればいいんです」ということです(苦笑)

 

しかし観客はリア王を憐れむ

リア王は娘たちの裏切りに怒り狂い、
しだいに理性を失い、衣服を身につけず、狂っていきます。

シェイクスピアが巧みなところは、
観客に「自業自得だ」とは感じさせず、
次から次へとリア王を苦しめることで
観客に憐れみさえ感じさせるところにあります。

「赤ん坊が泣くのは、この阿呆の世界に産み落とされたからだ」

この台詞はシェイクスピアの残した名言の中でもトップ5に入るもので、
またこれほどニヒリズムに満ちた台詞はないでしょう。

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