授業記録:歴史入門 ジャンヌ・ダルク

フランスが誇る、悲劇のヒロイン

本日は「歴史入門 ジャンヌ・ダルク」を開催しました。

※こちらも参考にしてください。

ジャンヌ・ダルクは女性戦士として知名度の高い人物です。
しかし、彼女は戦いに参戦するまでは、一村人のいたいけな少女でした。

そんな彼女に神託が聞こえるようになりました。

「王太子を助けて、イギリスからフランス領を奪還せよ」

実際、劣勢に立っていたフランス軍でしたが、
どこの馬の骨か分からない少女の神託を信じることによって
士気が改善され、結果的にフランスは勝利を掴んだのです。

19歳にして、壮絶な最期

しかし、彼女の活躍は極端に短いものでした。
フランス軍が勢いを取り戻すのとは反比例して、
ジャンヌはイギリス側に捕まってしまいます。

そして、異端者と決めつけられ、火刑に処されてしまうのです。
フランス王は国の恩人である彼女を救うことはしませんでした。

そして、フランスを救った英雄に生まれ変わった

カトリックの世界で、異端者として処刑されたことは名誉を失うことを示します。
いわば、フランスの黒歴史になりかけていた彼女の存在をもう一度取り上げたのは、
あのフランス皇帝ナポレオンでした。

彼はフランスを再び一つにするため、
イギリスを撃退し、今のフランスを守った彼女を象徴にしたてたのです。

この時代であれば、少女ではなく、力強い男性の偉人のほうが象徴として向いていると思うかもしれません。
しかし、まずカトリック国であるフランスには聖母マリアに対する強い信仰があります。
神託を聞いたジャンヌ・ダルクを聖母のイメージにかぶせたのでしょう。

また、ヨーロッパの言語には男性名詞、女性名詞があるものがあります。
そして、フランスという国名は女性名詞なのです。
このような意味でも、フランスをまとめるための媒介としてジャンヌ・ダルクはぴったりだったのです。

それにくわえて、カトリックにおいて神の声を聞けるのは教皇のみでした。
神は直接、王や国民には話しかけないのです。
ところが、ジャンヌ・ダルクに神は話しかけたのです。
それはつまり、フランスという国が神に愛されている証拠でもありました。

このようにして、時代に翻弄され、名誉と命を失ったジャンヌ・ダルクは
再び時代に翻弄される形で生き返ったといえるでしょう。

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