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授業記録:歴史入門 第一次世界大戦

今だからこそ学びたい第一次世界大戦

本日は「歴史入門 第一次世界大戦」を開催しました。

この授業は、通算四回目です。
前回の授業は半年前でした。
つまり、ロシアのウクライナ侵攻前だったんです。

再受講いただいている学生さんも多数いらっしゃって、
「半年前とはまったく違う思いで聞いています」とおっしゃっていました。

今まで戦争なんて、抽象的な概念にしかすぎませんでした。
ところが、今となっては、身近に迫っている具体的な出来事です。
第一次世界大戦の学びが直接、現在の戦争にリンクします。

戦争が好きな人間や国家なんていない

この授業では当時の複雑な国際情勢をなるべく簡素化し、
分かりやすく二時間にまとめました。

そして、お伝えしたかったのは、
戦争をする気がなくても戦争は起きてしまうということです。

2022年を生きる私たちは歴史の最先端にいることは間違いありません。
すると、つい私たちは過去の人間より賢いという思い違いをしてしまいます。

二回に渡る世界大戦を知ったとき、
「当時の人たちは戦争の恐ろしさを知らなかったから軽々と戦争をしてしまったんだ」
そう考える人は大勢います。
当時の人たちを今の人たちよりも賢くないと思ってしまうのです。

でも、違うんです。
誰だって戦いたくはないのです。
それはいつの時代だって同じです。
国家にとっても戦争はたくさんのお金がかかります。

しかし、ちょっとした出来事が連鎖反応を生んでいきました。
連鎖反応の途中のどこを切り取っても、「僕でもそう決断する」という判断ばかりです。
ところが、その判断が次の判断を生み、ドミノ倒しになっていく。
全体を見てみると、何と不思議なことに世界大戦へと突入してしまっているのです。

平和を望むだけでは不充分

よって、戦争を避けられないもっとも大きな要因は、
「自分や我が国は戦争なんて愚かなことはぜったいにしないだろう」という確信です。
その確信が慢心となり、いつの間にか戦争を起こすのです。

歴史を見ていくと、
人間の意志によって切り開かれた幸福はたくさんあります。
しかし、戦争に限れば、
「平和を望む」だけの人間の意志では平和は実現しないのかもしれません。

たとえば、フランチャイズの店のマニュアルは、
従業員が怠ける前提で作られています。
「うちの従業員はぜったいに怠けない!」という性善説には頼りません。

裏を返すと、
多少怠ける従業員でも成果が残せるマニュアルを考案できる経営者は優秀です。

平和も同じかもしれません。
平和を望む意志だけに頼るのは不充分。
たとえ、世界の全員が戦争を望んでも、
戦争を簡単にはできないようにする様々な制度やルール作りが必要でしょう。

平和を望めば平和が訪れるなんて信じるのは、美しいように見えて、ただの怠慢かもしれない。
頭を働かせて、教養を学ぶことこそが重要だと痛感します。

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