授業記録:歴史入門 大航海時代

男たちはなぜ海原へと漕ぎ出した?

先日は「歴史入門 大航海時代」を開催しました。

大航海時代と聞けば、なんとなく誰もが想像できることでしょう。
インド航路の発見、新大陸の到達が叶った時代です。

なぜ男たちは海原へ漕ぎ出したのでしょうか。
当時は完璧な世界地図などない時代です。
大きなリスクを冒す必要がどこにあったのでしょう?

コショウはなぜ高価なのか?

まず、ポイントになるのはコショウなどの香辛料です。
当時ヨーロッパは肉食でしたが、肉を塩漬けにして保存していました。
ところが、塩辛く、匂いも強烈なのです。
これを美味しく食べるのに、香辛料の存在はまさに魔法です。

ところが、香辛料はヨーロッパでは採取できません。
インドやマラッカ諸島などで収穫されたのです。

ちなみに、中華料理やタイ料理などは極めて香辛料を巧く使っています。
香辛料は汚い川で採れた魚でもその匂いを打ち消すことができるのです。
日本は比較的水がきれいなので、歴史を通して香辛料の必要性はあまりありませんでした。

さて、以上の理由でコショウはヨーロッパで高値で取引されていたのです。

イスラム教が大航海時代をつくった?

ここで二つの動きが生まれます。
そのどちらもがイスラム教が関わっているのです。

まず、スペインとポルトガル。
ここではながらくイスラム教とキリスト教が闘ってきました。
しかし、1492年、ついにキリスト教はイスラム教を駆逐(レコンキスタ)しました。
両国は国力に余裕が出てきたのです。

そして、東ヨーロッパ。
東ヨーロッパは西ヨーロッパとアジアの中間地点です。
ここではキリスト教国であった東ローマ帝国を
イスラム教国であるイスラム教国が破り、占領したのです。

香辛料を輸入しようとしても
オスマン帝国が高い関税をかけることで妨げられてしまいます。

スペインとポルトガルはもっともアジアから遠い場所です。
しかも今はオスマン帝国が妨害をして、香辛料を手に入れることがさらに難しくなりました。
だからこそ、彼らは決断したのです。
未知の大西洋を利用して、インドやマラッカ諸島へ直通する方法はないだろうか?

歴史の偶然を通して、
スペインとポルトガルは世界の全貌を明らかにし、
ついには小国の集まりに過ぎなかったヨーロッパが覇権を握る礎を作ることになったのです。

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