授業記録:ヴォルテール

マルチな才能で一世を風靡した男

本日は「歴史入門 ヴォルテール」を開催しました。

彼はフランス革命が起きる少し前に活躍した哲学者です。
日本では、同時代に生きたルソーのほうが有名かもしれません。

また、ヴォルテールは哲学者でありながら、
活動家であり、小説家であり、歴史かでもあり、
マルチの才能ゆえに「職人気質」を好む日本では一段下に見られてしまうのかもしれません。

しかし、それはもったいない。
ヴォルテールの思想こそ、今の「自由」と「科学」に溢れた時代の礎だったのです。

イギリスへと羨望と嫉妬「哲学書簡」

彼は自分の思想を系統だてて理屈くさく語るような、
しみったれた哲学者ではありません。

「今のフランスに必要だ!」と考えたことを、
つまり時事ネタをテーマに取り上げていくつかの著作を残しました。
今日は二つに絞ってお伝えしたいと思います。

一つ目は「哲学書簡」
彼はフランスで挫折したことをきっかけに
しばらくイギリスで過ごすことになりました。

しかし、若きヴォルテールは、
フランスよりも数段進んだ文明開化の国イギリスを目の当たりにし、心躍らせたのです。
フランスの友人にイギリスの進歩ぶりを伝えたのが「哲学書簡」でした。

イギリスはさまざまの宗派が存在する国である。
イギリスは自由な人間として、自分の好きな道をとおって天国に行く。
ー「哲学書簡」(古典新訳文庫)p47

これってイギリスを褒めているようで、実はフランスの後進性を批判しているんです。
そして、「フランスだってもっと頑張れよ!」って心の底では望んでいるんです。

なにもかもが素晴らしいって嘘だろ!「カンディード」

もう一つの著作は、小説という形をとった「カンディード」
主人公カンディードが、領主の娘クネゴンデとキスをしたため、
追放されてしまうところから物語は始まります。

しかし、こんな不幸など序の口です。
次から次へとカンディードやその親しい者に災厄な事態が起こります。
殺される、凌辱される、大地震が起きる…

実はこれ、ヴォルテールの挑戦なのです。
誰に対して?それはキリスト教のある考え方です。

ここまで不幸なことが連続しても、
「すべては神の思し召し。結局は良いことに繋がっている」と考える最善説に対する批判です。

だから、キリスト教徒は不幸が起きても耐えてきたんです。
「当時は不幸だと思ったけど、あのおかげで今の僕がいる」なんて言葉はよく聞きますよね。

でも、ヴォルテールは最善説を信じていれば、
人間は進歩しない、改善しようとしないと強く主張したのです。

最善説を信じていたカンディードは数々の不幸を味わう中で、
次第に最善説の誤りに気づき、自分の理性で人生を切り開こうとする姿が描かれます。

ヴォルテールとは、まさに理性の申し子という名にふさわしい人物なのです。

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