授業記録:文学入門 若草物語

女性が活躍する時代を導いた文学

本日は「文学入門 若草物語」を開催しました。

予想通り、男性で読まれた方は少なく、
反対にほとんどの女性は学生時代に読んだことがあるとおっしゃっていました。

19世紀のアメリカで発表された
「若草物語」はティーンエージャー向けの文学作品です。


主人公の少女ジョセフィーンは家族のために作家を目指します。
そして、ジョセフィーン含めた四姉妹の成長が爽やかに描かれます。

大人が今さら読むものではないと考えてしまうのも無理はありません。
しかし、女性の権利が確立されていない中で、
女性の自立や結婚以外の生き方を提示する革新的な作品でした。

「若草物語」ってそもそもどういう意味?

原題は”Little Women”、小さな貴婦人という意味です。
なかなか直訳しただけではパンチにかけるのか、
「小婦人」や「四姉妹」「愛の姉妹」「乙女の幸福」などと訳され、
1930年代に「若草物語」に落ち着きました。

“women”とは本来、大人の女性です。
その言葉に、”little”とついているのは果たしてどう意味でしょうか。
※古典新訳文庫版より引用。

戦争に、宗教。意外に奥が深い。

また、大人になったからこそ、深く読み解けるポイントがいくつかあります。
まず、この作品の舞台は南北戦争の最中であるということ。
南北戦争とは、奴隷制の可否で起こった大きな内乱です。

もちろん、作中で血腥い様子は一切描かれることはありません。
しかし、四姉妹の父親が不在である理由が、
南北戦争への従軍であることが分かると違った読み方が可能です。

それにくわえて、作者のルイザ・メイ・オルコットが
敬虔なピューリタン(プロテスタントの一派、清教徒)であったことから、
四姉妹に対する母親の教育が宗教的な匂いがあることにも気づきます。

「若草物語」が単なる少女向け小説ではなく、
アメリカの歴史、そして女性の権利獲得の歴史の一部であることに気づくと、
大人の学び直しならではの楽しみを得られます。

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