授業記録:哲学入門 アーレント

ヒトラーは僕たちの心の中にいる

本日は「哲学入門 アーレント」を開催しました。

ハンナ・アーレントはドイツの女性哲学者であり、ユダヤ人でした。
そして、第二次世界大戦を生きたと知れば、
思い浮かぶのはナチスドイツの行ったユダヤ人大虐殺です。

幸いなことにアーレント自身はアメリカに亡命をしていました。
しかし、アーレントはこの非人間的に行いがなぜ行われたのかを探りました。
そして、その答えは「悪の陳腐さ」でした。

そう、絶対的な悪人がいるのではなく、
その悪は誰もがなる可能性があるという警告でした。
ヒトラーはがん細胞のように突然現れたのではなく、
僕らの心に存在するのです。

 

閉塞感に満ちた社会でそれは巣食う

私たちはヒトラーこそが悪人だと断罪します。
しかし、ヒトラーを選んだのはドイツの国民でした。
そして、彼らはヒトラーという善良な男に希望を託したのです。
ましてや、その男が大虐殺を行うなど考えもしなかったでしょう。

なぜ、ヒトラーの本質を国民は見抜けなかったのか?
アーレントは、それは社会に蔓延する閉塞感が原因だといいます。

閉塞感に満ちた社会に共通するのは、
ある程度は満たされた社会であるということです。
衣食住も提供され、飢え死にすることはない。

しかし、満ちているからといって、幸福かどうかは別問題です。
むしろ、物質的に満ち足りているのに、
心が満ち足りていないとき、人は本当の不安を感じるのです。

笑止千万の陰謀論でも人は求める

そんなとき、人は陰謀論にすがってしまうのだとアーレントは言います。
陰謀論は、納得がいかない世界を明確に説明してくれるのです。

当時、ドイツの経済状況は悪化する中で、
ユダヤ人に富豪が多く、また医者や弁護士の半分がユダヤ人でした。
閉塞感に溢れたドイツ人は、いつしかこんなバカげた陰謀論を信じることになります。

「ユダヤ人が裏で結託して、ドイツ社会を破滅させようとしている。」

こうして、人々はユダヤ人排斥を平気で始めました。
そして、この考え方を売りにして、人気を獲得したのがナチスドイツだったのです。
ヒトラーが現れて人々を洗脳したのではなく、
ヒトラーを受け入れる素養がすでにドイツの民衆に広がっていたのです。

さて、今説明しているのは100年前の話ですが、
どこか現代と似ているとは思わないでしょうか?

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