クリスマスと教養と信仰

クリスマス・イブということで「クリスマスと教養と信仰」というタイトルをつけてみました。「クリスマスまでには寒くなる。」そんなことを言った人がいたか、いなかったか・・・

わたくしの住まいは公園の向い。公園の樹木が葉を落とし、カラカラと音を立てて舞い落ち始めたなと思ったらすっかり丸裸。夏はその茂みから差し込む太陽の光が、今はまっすぐベランダの窓辺に差し込んできます。日に日に乾燥がひどくなるのも東京の冬の特徴。東京も朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。

信仰のない日本人

さて、本日のお題、教養と信仰。クリスマスらしいネタをとピックアップしてみました。キリスト教は信仰ではなく教養として学ぶだけで、文学から映画、音楽や絵画の解像度が爆上がりします。わたくしが美術検定を受けようなんて思ったのも、このキリスト教の知識のおかげ。

とはいえ、日本人にとっての信仰は、なんだか怪しげで近寄ってはいけないもの。そんなレッテルを貼られ現在に至っているように思います。国家統治のために取り入れた仏教も、明治初年、祭政一致をスローガンとする政府の神道国教化政策・神仏分離政策によって廃仏毀釈が行われれ、その神道も第二次世界に敗戦し、戦勝国からなかったことにされる。日本の成り立ちで構成される初等学校の国語の教科書はけしからん!黒く塗れ!!と墨を塗られたのが黒塗りの教科書。確かに、学校教育で教えるものではないと現代では理解できますが、日本人の信仰不信はこんな経緯からなのでしょうか。いやいや、もっと前。宣教師の通訳だったロドリゲスが、「日本にキリスト教はなじまない」と言ったらしいから、やはりアミニズム信仰が理由なのでしょうか。

教養は、信仰を理解しないと本質が分からない

これは、理解したからこそわかる美術の楽しさ、音楽の美しさ、そして文学の奥深さ。今年最後の授業でも、キリスト教を信仰するクラスメイトから、「キリスト教的捉え方」がアフタートークが話題に。学長がYouTube Liveの読書会で取り上げた『罪と罰』もキリスト教的視点が多く取り入れられているとのこと。それが彼女の手に落ちると目から鱗。学長ですらその感想文には唸ってしまう。キリスト教だからこそ見えるドフトエフスキーの世界、それが一体どんなものかは、信仰心のないわたくしには見えようがありません。

東京ジャーミー

かくいう私、先のブログにあるとおりイスラム教の魅力に取り憑かれている一人です。毎週東京ジャーミー(東京にあるモスク)に通い、ムスリムの人々のその寛容さと優しさ、また彼らの視点の歴史を知れば知るほど沼るイスラム教。教養を身に着け、その教養をもって旅をすることで、イスラム教とはその土地や気候に触れて初めて理解できるものと実感。「イスラム世界の居心地の良さここにあり。」、そう思えたのはトルコ旅行の後で、今でもその居心地の良さがどこから来るのか、わたくしの探究心は貪欲にその答えを探しつづけています。

そういうものだと思うことが大事。

そう言い放ったのは澁澤栄一を生んだ澁澤本家のお嬢様、澁澤幸子先生。フランス文学者の澁澤龍彦を兄に持ち、ご本人はトルコ研究家。そう、イスラム教とは空気のように宗教が存在する世界。それが信仰であり、それがイスラムの世界なんです。信仰が篤いユダヤ教も、ユダヤの世界は男性が働き、女性は家を守る。現代においては男尊女卑だ!と言われそうな価値観も、ユダヤ教の世界では女性たちも不平不満なく、「幸せだ」と答えているのをNHKの特番で放送していました。イスラム原理主義なら揶揄されるところを、ユダヤ教に対しては何もない。まずは受け入れましょう。

宗教は空気。信仰は呼吸。

宗教と信仰をわたくしなりに表現してみました。こういう関係だから、その土地に侵入する異教徒はウィルスみたいなもので、「撃退せよ」と宗教戦争が起るのでしょう。なんて、少し短絡的、そして稚拙な解釈をしてみました。

では、キリスト教は?

で、イスラム教、ユダヤ教を例えて解釈してみたのですが、では、「キリスト教は空気か」と言われるとちょっと違う気がします。イエズス会が布教活動を行いキリスト教徒を増やしたこと、また、洗礼を受ければクリスチャンになれること。これが「キリスト教は空気」に違和感を感じる点になります。キリスト教には、「信仰したいから信仰する。」そういう強い意志があるように感じます。それが遅まきながら世界を発展させる原動力となったのでしょうか。

※ ※ ※ ※ ※

さてと、ひたすらに私の思いを書き連ねてしまいましたが、ここまで書けるようになったところが私の進歩であり教養度合い。それまでは「世界三大宗教」とは?くらいの知識しかなかったのですが、教養が身に着くと信仰についてもこの程度なら語れようになるのです。笑

時刻は間もなく00:00。

12月25日の秒読みが終えるまでには眠りに落ちようと思います。世間がクリスマスイブの今日、立派にルーティンをこなし1日を終えます。今日はよく眠れそう。

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