授業記録:歴史入門 十字軍

イスラム教の遺恨を残した黒歴史

本日は「歴史入門 十字軍」を開催しました。

十字軍とは、名前の通り、キリスト教徒の軍隊です。
彼らの目的は、打倒イスラム教徒でした。
結果、200年に渡り、7回の戦いをおこないました。

歴史に詳しくない方でも、
十字軍と聞けば、馬に乗ったかっこよい騎士を想像するでしょう。
野蛮なイスラム教徒を蹴散らし、正義を勝ち取ります。

しかし、それはあくまでキリスト教徒から見た歴史です。
実際、十字軍運動はイスラム教徒への「リンチ」でした。

敵をつくって一致団結させたカトリック

十字軍運動の黒幕は、カトリックの教皇でした。
彼は西ヨーロッパにおける自分の権威を強化し、誇示するために、
ヨーロッパ中の軍隊を自分のもとに集める必要がありました。
カトリックは宗教ですから大きな軍隊は持っていないのです。

しかし、「自分の力を誇示したいから集まってくれ」と言っても、
各国の軍隊が手弁当で集まってくれるはずもありません。
そのためには、彼らの情熱をたぎらせるビジョンが必要だったのです。

こうして、教皇は大きなビジョンを掲げたのです。
それは、「聖地エルサレムをイスラム教徒から奪還する」ことでした。
教皇の目論見は功を奏し、十字軍は熱狂のもと進軍を開始しました。

眠れる獅子だったイスラム教も目を覚ます

聖地エルサレムに住んでいたイスラム教徒は、
突然侵入した十字軍にことごとく蹂躙されてしまいます。
十字軍からすれば、「華々しい」勝利を獲得したのです。

しかし、「リンチ」をされて黙っているイスラム教徒ではありません。
イスラム教徒が敗北したのは、襲撃を予期していなかったことにくわえて、
イスラム教の中でも数々のグループが群雄割拠し、連携がとれていなかったことも要因でした。

カトリックの教皇は大きなビジョンを掲げたことで成功しましたが、
イスラム教同士も「打倒キリスト教」をビジョンに掲げて、一致団結することに成功するのでした。
それからは破竹の勢いで十字軍を撃退します。

全7回に渡る十字軍遠征において、十字軍が勝利したのは最初の一回だけでした。
キリスト教徒が得たものといえば、イスラム教の恨みだけかもしれません。

 

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